「見積書を送ったのに、相手から『届いていない』と言われたんです」——先日いただいたご相談です。調べてみると、メールは相手の迷惑メールフォルダに入っていました。送り主のアドレスは、個人でも使える無料のメール。仕事のメールアドレスは、相手から見ると「会社の顔」です。今回は、会社の名前が入ったメールアドレスに変える理由と、その手順をお話しします。
「独自ドメインのメール」とは
メールアドレスの「@」から後ろの部分をドメインといいます。たとえば次の3つは、見た目が似ていても中身がまったく違います。
| 種類 | アドレスの例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 無料のメール | yamada.koumuten@gmail.com | 誰でもすぐ作れる。会社のものかどうか相手には分からない |
| プロバイダのメール | yamada@○○○.ne.jp | インターネット回線の契約に付いてくる。回線を解約すると使えなくなる |
| 独自ドメインのメール | info@yamada-koumuten.co.jp | 会社の名前で取ったドメインを使う。ホームページと同じ名前にできる |
3つ目の独自ドメインは、ホームページのアドレス(URL)と同じものを使うのが一般的です。ホームページがあれば、たいていの場合、同じドメインでメールアドレスを作れます。
理由1:相手が「本物の会社」だと分かる
名刺・見積書・請求書に会社の名前が入ったメールアドレスが書いてあると、それだけで「きちんとした会社だ」という安心感につながります。逆に、無料のメールだと、取引先によっては「個人の方ですか?」と確かめられることもあります。
最近は、会社の名前をかたった「なりすましメール」も増えています。独自ドメインなら、相手はアドレスの「@」から後ろを見るだけで本物かどうかを判断できます。
理由2:迷惑メールに入りにくくなる
冒頭のご相談のように、ちゃんと送ったのに届かないのは、仕事ではいちばん困ることです。Googleは2024年2月から、Gmailあてにメールを送るすべての送信者に対して、「送信元のドメインにメールの認証(SPFまたはDKIM)を設定すること」などを求めています。
認証とは、「このメールは確かにこの会社から送られたものです」と証明するための設定です。独自ドメインなら、自社でこの設定ができます。設定してあるメールは、相手のメールソフトから「身元のはっきりした送り主」として扱われ、迷惑メールに振り分けられにくくなります。
SPF・DKIM・DMARC(ディーマーク)の3つが、メールの身元を証明する設定です。ドメインを管理している画面で、文字列を数行登録するだけで済みます。
理由3:回線や会社を乗り換えても変わらない
プロバイダのメールは、インターネット回線の契約とセットです。光回線を乗り換えたとたん、長年使ってきたメールアドレスが使えなくなる——という話は珍しくありません。名刺・看板・社用車・チラシに書いたアドレスも、すべて直すことになります。
独自ドメインのメールなら、回線を替えても、メールを置いているサーバーを替えても、アドレスはそのまま使い続けられます。
理由4:社員のメールが会社に残る
社員それぞれが自分の無料メールで取引先とやり取りしていると、その人が退職したときに過去のやり取りも、取引先からの連絡も、会社に残りません。
独自ドメインなら、「info@」「yamada@」などのアドレスを会社が発行・管理できます。担当者が替わってもアドレスを引き継いだり、別の人に転送したりできます。
切り替えの手順と、気をつけたいこと
- ドメインを用意する:ホームページがあれば、そのドメインを使う。無ければ会社名などで取得する(多くは年間数千円程度)
- メールを置く場所を決める:ホームページのサーバーに付いているメール機能を使うか、Google WorkspaceやMicrosoft 365などのサービスを使う
- メールの認証(SPF・DKIM・DMARC)を設定する:ここを省くと、せっかく変えても迷惑メールに入りやすいまま
- 古いアドレスは、すぐには止めない:数か月は古いアドレスにも届くようにして、届いたら新しいアドレスから返信する
- 名刺・ホームページ・見積書のひな形・請求書を順に直す
なお、ドメインは毎年(または数年ごと)の更新が必要です。更新を忘れると、ホームページもメールも同時に止まってしまいます。更新の連絡が届くメールアドレスと、支払い方法は必ず確認しておきましょう(以前の記事「2026年10月から、Chromeが「鍵マークのないサイト」に警告を出します」でも触れています)。
私達の現場から
私達がホームページ制作のご相談を受けると、「ホームページはあるのに、メールは無料のアドレスのまま」という会社が少なくありません。せっかく会社のドメインがあるのに、使っていないのはもったいないことです。
私達は、ホームページを作るときに同じドメインのメールアドレスの設定と、迷惑メールに入りにくくする認証の設定まであわせて行うようにしています。いまのメールアドレスのまま困っていることがある、という方も、お気軽にご相談ください。
まとめ
- 独自ドメインのメールは、ホームページと同じ「会社の名前」のアドレス
- 相手に本物の会社だと伝わる。なりすましとも見分けやすい
- メールの認証(SPF・DKIM・DMARC)を設定すれば、迷惑メールに入りにくくなる
- 回線やサーバーを替えてもアドレスは変わらない。社員のメールも会社に残る
- 切り替えるときは、古いアドレスを数か月残し、名刺や書類を順に直す